あらすじ


1948年夏、広島。
3年前の原爆により目の前で父を亡くした美津江は、 幸せになることを自分に禁じて生きていた。
そんな彼女の前に、父が現れ…
そして美津江は知るのであった。
あの日、瓦礫の下から「逃げろ!」と怒鳴った父の想いを。
自分の分まで生きて、 ピカのことを後世に伝えて欲しいという父の切なる願いを。

井上ひさしの名作戯曲を人形劇化した、珠玉の作品です。

舞台条件

上演時間/1時間50分(途中休憩なし)

一回の最大観客数/200名程度

キャスト

林 達美 八幡美佳 飯田恵美

松本英司 (「演劇企画ポカラの会」より客演)

スタッフ

     作/井上ひさし『父と暮せば』(新潮社刊)
     企画/浦野一昭
     演出/木村繁
     美術/宮武史郎
     音響/加藤直久
     照明/林達美
     衣裳/福永朝子
     制作/吉田明子

演出の言葉

 

お節介な!お父さん

 『父と暮せば』は井上ひさしさんの小さな小さなお話です。何が小さいかと申しますと、出演者は娘が一人。いえ、実はもう一人父が居るのですが、父はお化けですから。
一人芝居のような?
二人芝居のような?
お化けを相手にブツブツ独り言をいっているお芝居です。
それも原爆から生き残り結婚をあきらめている娘の恋を
成就させるために、死んだ父があの世から押し掛けて来る
という仕掛けです。
マァー、なんてお節介な亡者でしょう!
むかしから喜劇にはおせっかいでおっちょこちょいのおばちゃんが良く出て来ます。
仲人大好き人間です。
そしてそのお節介はたいてい失敗して、瓢箪からコマで、
おばちゃんに恋人ができたりするのです。
さすが大喜劇作家の井上先生、この喜劇の方程式を使って、シリアスな原爆ドラマを笑いと涙のお芝居に作り上げました。
 むすび座がこのセリフ芝居を、人形劇で上演しようと勝負に出たのは訳があるのです。
なにしろお節介な父は命のない亡者ですから。
命のない者に命を与えて活躍させるのは人形遣いの腕という訳です。
  さあ、人形劇版『父と暮せば』心ゆくまでおたのしみください。

演出 木村繁